カイシャのハナシ その2

 今一緒に仕事をしている人のひとりと、駅までの道で一緒になったので、話しながら帰った。物静かな方で、仮にAさんと呼ぶ。
 聞くとAさんも中途採用で、前職は某P社でシステムLSIの設計していたという。
俺  「へー。 けっこう社外とかでも活動したりとか、いろいろ出来たんじゃないですか?」
Aさん 「そうですねー。海外の学会行ったりとか、そういうのもありましたね。規格決めとかもあったし。」
俺  「なんでそんな安定してかつ良さげな環境から、こんな因業な会社にうつって来ちゃったんですか? アカデミックのかけらもないですよココ。」
Aさん 「なんていうかねー。なにかとゆったりした空気で、将来が見通せちゃって。『このまま適当に昇進しながら定年までいくんだなー』と思ったら、アツい開発の現場ってものに行ってみたくなっちゃって。」
俺  「そうして選んだのがこの会社ですか。」
Aさん 「ハイ。」
俺  「・・・バカですね・・・」
Aさん 「・・・・ハイ・・・。 で、Iさんは、なんでこの会社に?」
俺  「いやー、前の会社で、最初アツすぎる部署にいたんですけど、いっぺんヌルい部署に移っちゃって。
 そうなると人間、やっぱほどよくアツい開発の現場ってもんに行きたいなと思っちゃって。」
Aさん 「ほどよくアツい・・・。そうして選んだのがこの会社ですか。」
俺  「ハイ。」
Aさん 「・・・すごくバカですね・・・」
俺  「・・・・ハイ・・・。」


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