グレート・ハンティング

 富裕層の趣味と言えば、世界的にはハンティングです。

 そして私もエリートサラリーマンの端くれとして、今まで数多くの狩りに挑んできましたが、実は日本のハンティング事情の貧しさにはかなり不満を募らせていました。

 

 潮干狩りしかり、地引き網しかり。今年の正月には釣り堀(養殖場サイドビジネス)なるものにも行ってきましたが、そこにも私の求める「ひりつくような息詰まる真剣勝負」はありませんでした。

 これは私の同僚の話ですが、彼が行ったクリ拾いなどはコースの途中に「ここにクリがあります」という立て看板があり、そのたもとに運営が置いたクリを回収するというものだったそうです。 

 その話は俄には信じられないぐらいに愚かしかったので

 「古来、拾われた捨て子は健やかに育つと言われ、豊臣秀頼も『出生時に捨てられ、直後に家臣が拾う』という儀式を行ったと聞きます。 そのクリ拾いもその辺に由来があるのでは。」

 と推理を述べてしまったほどです(無視されたけど)。

 

 

 その様な状態だったので、本日行ってきたイチゴ狩りもちっとも期待していなかったのです。(イチゴ、すっぱいし)

 なんのなんの、あれこそ『狩り』でした! ビバ! (興奮している)

 断言します。 「真のハンティングはイチゴ狩りにあり」です!

 

 まず、ビニールハウスに案内されて、ヘタを入れるトレーを渡されます。で、あとは30分、ひたすら摘みまくり喰いまくり。

 一見、何の戦略性も駆け引きも無いように見えますが、決してそんなことは無く、非常に奥深かったのです!

 一つは、同じ「章姫(あきひめ)」という品種ながら、1個1個味が全然違ったことです。 意外なことに、ケーキの上に乗っているような端正な形のものは、真っ赤に輝くほどに熟れていても、それほど美味しくないのです。酸味も有り、「まぁふつーのイチゴだね」ていうぐらい。

 それが、長細ーく曲がったような形の悪い物(太った唐辛子のみたいな物。ヘタの付近にはブツブツもあり、正直すこし気持ち悪い)は、とても甘い上に酸味という物がゼロで、今までに食べたイチゴの概念を完全に覆すほど美味でした。 イチゴも葉っぱに隠れたりしているので、それを探す難しさと楽しさも有りました。 

 そして、「ひっひっひ、これは甘いに違いない」と思って喰ったときのアタリはずれというギャンブル性。 思ったより甘かったときの嬉しさといったらもう。

 さらに、15分もすればお腹いっぱいになってしまうので、「もう・・・食えてもあと数個・・!」という極限状態の中、熟れ具合や形を厳選して口に運ぶわけですが、そこは明らかに真剣勝負です。 持てる頭脳と運を総動員してイチゴと駆け引きすることになります。

 (それなのに。 これは・・・! という完全な形と大きさと熟れ具合の物を見つけたが、採ってから裏返したらカビてたりとか。まぁ熟れすぎるとね・・。)

 

 結局、私一人で3パック分は優に食べたんじゃ無いかなぁ。

 思いがけずモトも取れたし、そもそもそこらに売ってないぐらい甘いイチゴが食えたので、非常に満足しました。

 ちなみに、帰り際に農園のおじさんに「曲がってる方が甘くね?」と聞いたら「俺もそう思う。理由は分からん」と言われました。なんだろね。 

 

 おまけに敷地の端っこの斜面にゴルフボールがいっぱい落ちていて、子どもとボール狩りも楽しめました。

(なぜあんなに落ちていたのかは不明。ツクシみたいに日当たりの良い斜面に生えるのかもしれない。隣のゴルフコースとはきっと無関係)

 

結論:真のハンティングはイチゴ狩りに有り! (大事なことは繰り返し。)