初夏の怪談

母に聞いた、本当にあった怖い話。

 

 私の母は紀伊半島の南の方(それも東側)の出身なのだが、そのあたりは有り体に言ってド田舎だ。 太平洋ベルトの情報・物流の流れから隔絶されて、古い文化が保存された集落が点在していることで知られる。

 そのうちの一つ、海から少し内陸に入ったところの村の話なのだが。

 そこでは風土病というか、濃縮された遺伝子のせいと思われるのだが、村の男性が長じると例外なく体が不自由になるという。 具体的には、髪の毛が尋常では無く減ってしまうという。もう、「ちょっと歳がいった男性はみんな頭が肌色」というむごたらしい有様らしい。

 若い頃はフサでも、20代後半からキてしまい、40代ともなれば焦土と化してしまうので、近隣の集落からは「散髪屋いらずの村」として恐れられている程だ。

 

 何とも陰惨な話だが、きっと村の先祖が白蛇か旅の高僧でも殺してしまい末代まで呪われたんじゃ無いかと思う。

 

 で、何か怖いかというと、うちの母親がその村出身ということです。これは恐ろしい。

 

 でも「実は超能力者を集めた隠れ里の出身で、危機になると能力が発現する」設定みたいで中2的には少しカッコイイかもしれない。