パパ活の品格

 休日の朝。

 普段は放っておいたらいつまでも惰眠をむさぼっている下の娘が、早くから起きて洗面台を長時間占拠し、コテで念入りに毛先をくるくる巻いています。

 

 「どっかいくの?」

 「そう。」

 「誰と?」

 「彼氏。」

 「どこいくの?」

 「・・・・・(めんどくせぇな、という顔をする)。」

 「習字教室?」

 「そうそう、それそれ。」

 「そんなわけないよね。」

 「・・・・・お昼ご飯代、もらえたりする?」

 そう言われてほいほい小遣いを与えるほど私も甘い親ではないので、財布にあった二千円だけ渡すと、娘は足取り軽く出かけていきました。

 

 しかしこの、金銭的な対価を払いつつ父親としてのポジションを維持する行為、これこそが本当のパパ活というものではないでしょうか。むしろパパ活のプロフェッショナルと言っても過言ではない。

 そう考えると、東横やSNSで知り合った未成年に小銭を撒いているパパ活なんてね、あんなのパパ活界で言うたらほんのアマチュアだと思います。 こっちは自分の人生かけて、生活ごと丸がかえしてやってのパパ活ですからね! かけてる額のケタが違いますよ!! まぁ閃光のハサウェイのバウンデンウッデン伯爵ぐらいだったら認めてやってもいい。

 

 それはそうと今日の外出は、彼氏と遊びに行く、とかじゃないよね?(現実逃避)

同じ9月の空の下で

 日曜日の昼頃、近所の駅から電車に乗った。いつもと違う曜日、違う時間帯だったせいか、親子連れをたくさん見かけた。子供の多くは小学生ぐらいだったが、学校行事とかいうわけではなく、それぞれスポーツ系の習い事に行く途中だったり帰る途中だったりした模様。そういう時間帯だったんだろうが、休みの日に子供に運動させるのも金と手間をかける時代になったんだなぁと思った。まぁ「公園で適当に遊んで来い」っつっても最近外はクソ暑いしな。

 子供の運動に金をかけるといえば、小学生ばかりではなく中学生の部活廃止の流れも連想してしまう。 地域クラブに行ってね、というやつだ。あれもある程度公的な補助は出るらしいが、従来の部活と同じ量と質の運動を子供にさせようと思ったら、やっぱりそれなりの身銭は切らないといけないことだろう。かたや、子供に家でだらだらスマホを見せておくだけなら、親は手間も金もかからない。 

 実はこれすなわち、子供の運動経験って貧富の格差の強い影響を受けるようになってはいまいか。

 ステレオタイプな昭和のイメージだと、「貧乏人の子供:勉強もせず外で遊びまわって健康的」「金持ちの子:あまり運動せず白くてひょろっとしている」 なんだけど、もはやその認識は逆なのかもしれない。

 

 なんか既視感がある構図だなぁと思ったら、体型の話だった。 昔は「貧乏人は瘦せていて、金持ちがデブ」ってイメージだったけど、穀物や甘いものが安くなり、ヘルシーな野菜や肉・魚が高くなったせいで今では逆の価値観になったという奴だ。

 

 こと学力においては貧富による環境格差が言われて久しいが、それ以外の分野でも、金銭の多寡が子供の可能性を制限する傾向は確実に広まっている気がする。

 

 ここで「格差社会」だの「親ガチャ」だの言って嘆くのは簡単なのだが、逆に「親が頑張れば頑張るだけ、可愛いわが子に素晴らしい未来をプレゼントできる世界」と言ってしまうとなんか良い感じになることよなぁ。

 

お父さんのとっておき

 

 6月の北海道旅行の際、ニセコのヒルトンがオフシーズンで超安かったためそこで一泊したのだが、そこの大浴場の備え付けのボディソープが非常に良い匂いがした。フローラル系のさわやかな香りではなく、動物系のややまとわりつくようなものなのだが、決してしつこくはなく複雑でふくらみのある感じで、いつまで嗅いでも飽きない。まぁ要するに、ダントツで人生で最も好みの香りの界面活性剤だった。 さすがヒルトン。

 こういうホテルで使っているものってたいがい売店で販売してるよなぁ、と思って探してみたら案の定売っていた。 さすがに数百円という訳にはいかなかったが、びっくりするほど高いという訳でもない。 一応ネットでしらべてみたら市販品ではあったのだが、売店での価格は良心的であったこともあり、記念にと購入してしまった。

 こういうシャンプー系だけではなく、部屋に置いている無料のお菓子や、食堂のフリカケなど「気に入ったら売店で土産として買っていってね」的なものって自分自身ホテルや旅館で無数に遭遇してきたが、今まで購入に至った例が無かったことを考えると、我ながら今回のボディーソープがどれほど気に入ったのかに思い至り、少し驚くほどだ。

 そうして今も風呂場にそれはあるのだが、めったにない旅の思い出でありかつ高級品なので、無闇に消費する気にはなれない。正直、自分だけで大事に大事に使っていきたい思いはあるのだが、言うてもたかがボディソープ、家族に「これは俺以外使うべからず」と布告するのも家長としてあまりにみみちいのでやりたくない。

 悩んだ挙句、こっそり「ここに置いてたらみんな気づかんやろ」という所に設置することにした。具体的にはシャワーの横の棚の最上段、立って手を伸ばさないと取れない場所(彼は知能犯!)。

 

 そうしてくだんのボディソープの運用(もったいぶりつつ何日かに一度使う)を開始した訳ではあるが、ある入浴時にそれが特等席(蛇口の横の、家族の皆がシャンプーやコンディショナーを置いているアクセスの良いところ)に置いてあった。

 私が前に使ったときに秘密の場所に戻し忘れたようである。いかんいかん、家族に存在がばれてしまう・・・と慌てて撤去した。

 ところが、彼は次の入浴時にはまた特等席に戻っていた。あれー?と思いつつ日々過ごすうちに、液面が非常に減っていることに気づいた。 俺様の大事なボディソを誰かが勝手に使っている・・・・!!!

 憤懣やるかたない状況ではあるが、いまさら家族に「お父さんが大事にしてるんだから使うなヨォ!」と主張するのも父としての威厳に差し支えるので言い出せずにいる。そして悩んでいるうちに誤解の余地なくすごい勢いで減っていくボディーソープ。

 

 困った。

 

 

 

 

 

不都合な真実

 なんとなく健康に良さそう、ということで毎朝ヨーグルトを採るようにしている。しかし毎回市販のものを購入しているとヨーグルト破産してしまうので、R1乳酸菌さんをラムーの安牛乳とともにヨーグルトメーカーで密培養することで、少しでも費用を抑えるようにしている。 

 出来上がった密造ヨーグルトの品質は毎回異なるのだが(固まり具合や酸味が安定しない)、素人がノーコンで作っているのだからこんなもんだろう。 しかし毎回同じ品質に仕上げてくる本職(メーカー)はすごい技術力だなぁ。 温度はコントロールするとしても、牛乳の品質なんか牛の体調や季節でけっこう変わると思うんだけど、そこは精妙なノウハウで何とかしているのだろう。

 そんなヨーグルトの密造だが、ヨーグルトメーカーの設定上9時間というけっこうなリードタイムがかかるので、うっかり「あ、明日の朝のヨーグルトがないけど、今から作っても間に合わない」という状況に前の晩に陥ってしまうこともある。 そんなとき大抵は我慢するか市販のヨーグルトを買ってくるのだが、その日は結構夜遅かったので「ドンキ行くか」と思い立った。

 行ってみたらドンキオリジナルの安いものがあり、「北海道産生乳使用!」と書いてあったので、おードンキ良心的やんと思ってよく見たら(製品中に占める割合27%)と小さく付記してあった。 じゃぁ残り73%はなんやねん、と原材料を見てみたら「生乳、乳製品」とのこと。何様やねん乳製品って・・・。 しかも27%しか使ってなくても原材料の先頭に記載していい理屈がよくわからんなぁ・・・。

 

 それならばと、並んでいる他の有名メーカのヨーグルトの原材料を見てみると、一様に「生乳・乳製品」という表現になっている。 これ、ドンキが馬鹿正直に「27%」って明示しているだけで、他社も似たようなもんなんやろなぁ・・・。

 と思っていたところ、「小岩井 生乳100%ヨーグルト」だけ、当たり前だが原材料が生乳だけだった。 さすが小岩井、高級品だなぁ。興味をひかれたことと、売れ残って割引シールが貼られていたことから(重要)、それを購入して帰った。

 次の日、楽しみに開封してみると、密封している銀紙のところに文字が印刷してある。 こういう能書きを楽しんでこそ高級品、と思って読むと、「生乳100%の場合は、牛の体調や季節によってどうしても品質が変動するからごめんね」的なことが書いてあった。

 結局、みんな材料の「乳製品」の部分で品質調整しているんやなぁというお話でした。 

 味? 普通でした。 いや、プレーンヨーグルトなんか大して味かわりませんよ。おいしさとか言い出したら、バニラヨーグルトが一番に決まってる。

 

養老の滝

 もう齢80を超えたうちの母だが、オカンという立ち位置に卒業はないらしく、息子になにかと飯を食わせようとする癖はいっこうに治る気配がない。

 とはいえ当方も50歳、昔に比べれば食える量もぐんと減ったばかりか、余計に食った分はてきめんに身についてしまうお年頃だ。 そんな母の真正面からの攻撃には「いや、そんな食われへんって!」と防御するすべを身に着けているのだが、老獪無比な戦中生まれは最近まことに姑息な手で攻めてくる。 それは外食において、「お母さん、ちょっとこれ食べきられへんから、アンタ手伝おてえな」と言って自分の注文の多くをこちらに横流ししてくるというもの。 残すのももったいないのでこちらもしかたなく食べてしまうのだが、それをみて「あんたよー食べるなぁ」と呆れたふりをしてほくそ笑んでいるのである。誠に策士である。 

 しかもタチのわるいことに、母は細った自分の食では明らかに削り切れないようなメニューを頼むことでわざと多目に余らせることで、刺客を強力無比に鍛え上げているフシがある。 ただただ困る。

 先日もそうだった。母と兄と私の三人で出かけた際、母が路傍のインド料理屋をみつけて「そう言えば長い事カレー食べてへんなぁ」とつぶやいた。

 折しも昼時、じゃぁここで飯でもとなったのだが、インド料理屋のランチと言えば巨大ナン。たくさんの料理を頼んでも食いきれないことは目に見えているので、私と兄は一番シンプルなAセットを注文した。 そして母。隣の席に運ばれてきた馬の顔のようなナンをちらりと見やる。さすがに、うかつに注文するとちょっと量が多いなと考えているようだ。 そうだ母よ、兄も最近食が細くアテにならないことを思い出せ! 私はただただ、母の正気を信じる他なかった。

 少し間があって、母は店員におごそかに告げた。

  「じゃぁこの、マハラジャセット一つ」

 

 

 もう、しばらく水平より下が見れなくなるぐらい、おなかいっぱいになりました。

安定感

 仕事でのオンラインミーティング用に、無線と有線両方のイヤホンを持ち歩いている。 

 当初は無線をメインとして運用するつもりだったが、有線の「絶対接続できる」という安心感が何物にもかえがたく、結局そちらばかり使っている。

 そんな経緯なのでその有線イヤホンはこだわりの逸品ではなく、「家で余っていた、昔iPhoneに付属品としてついてきた白いやつ」だ。何の変哲もないどころか下手したら世界で最も生産されたイヤホンかもしれないのだが、性能や使い心地には全く不満なく長らく愛用させていただいていた。 ところが、直近どこかで無くしてしまった。無念。

 

 まぁこれも良い機会と思って(ちょっとウキウキしつつ)夜中のドンキで新しいやつを物色していたら、オリジナルブランドの「コードが磁力でコイル状にまとまるイヤホン」というものを売っていた。

 言われてみれば有線イヤホンは使った後コードを束ねるのが面倒っちゃ面倒ではある(そしてそれを怠ってカバンに入れるとものすごい絡まる)。価格も三千円強と安く、ネットでの評判も悪くなかったので購入してみた。

 

 そしてさっそく仕事場で運用してみたのだが・・イマイチ。

 二股に分かれて耳に至る細い部分は磁力がないので、コイル状にまとまらず、結局カバンの中で絡まるとか。 

 コードの品質がiPhone付属品に比べて固くて安っぽいとか(多分コードの被覆がPPとかナイロンだ。 iPhoneは柔らかくてしなやかなのでTPEだと思う)。 

 別にぜんぜん致命的ではないんだが、期待した程良くも無い。まぁでも使えるし、このまま使うかぁ・・・と思っていたら出動二日目、音量調整がぶっこわれてしまった。

 まぁこれは運が悪かっただけですぐに新品に交換してくれるとは思うのだが、それも面白く無いなぁ・・・。 とか考えながら通りがかったApple正規店でショーケースを見てみたら、くだんの白いイヤホンが普通に売っていた。しかもドンキの奴より安い!3000円もしない。 即買いするついでに、せっかくなのでコネクタもTypeCの物にしてみました。

 で、また快調に使っています。 最初からこうすりゃよかったよ。

 

 

 ※ドンキの壊れたイヤホンは、買った店に持っていたらすぐに返金してくれました。

 ※アップルのイヤホンも、昔の物に比べたらコードのしなやかさが少し落ちてました。コストダウンしたな・・・。