エクソダス

 金曜夜、ココ様が脱走した。
 私が帰ったときに妻がドアを開けてくれた、そのスキに。
 これまでも数回脱走歴はあり、そのたびに捕まえたり、家の中に追い込んだりしていたのだが、いつもかなり苦労していた。
 どうしようかなぁと思ったが、妻から、「最近は気が済んだら縁側に来てニャーとなく。だから待とう」と提案。
 確かに前回私が深夜に逃がしてしまった時は、追いかけても中々つかまらず、家でひと休みしていたら縁側に来て「ニャ。」と鳴いたな。
 というわけで、縁側の窓を開け放して、帰ってきたらすぐ分かるように窓そばの床の上で寝る事にした。
 
 が、朝5時ごろまで待っても帰ってこない。 小一時間、名前を呼びながら家の周辺を探してみたが、いない。
 妻と交代で、それから2,3回周辺を捜索したが、やはりいない。
 違う猫が寝ているのは何匹も見つけたんだけど、三毛がいない。
 ネットで調べるに、去勢したメスなら周囲50mぐらいにいるらしいのだけれど。
 近隣で生後まもない赤ちゃん(人間)がいるので、かすかに「うにゃー」という泣き声が聞こえてくることが多く、そのたびに もしやココ様では!?と外をみまわったり。
 疲れる。


 そして夜。
 明日、ビラでもつくって撒くか、とか、ペット探偵でもやとうか(本気)とかいろいろ考えつつ、子供を寝かしてから再度探索にでた。 名前を呼ばわりながら家の周囲をまわり、懐中電灯が必要なことに気づいた。車の下や路地を覗いたときに、目が光るので見つけやすいのだ。
 取りに戻ってまた家を出、名前を呼んだときに「ニャ」とかすかな声が気がした。
 もう一度呼んでみると、「ニャ」と言いながらふらっと家の脇から出てきて、縁側の前に。
 即つかまえて家族が寝ているところに運び、感動の再会。
 わたしは家長として、きつく説教と体罰(後頭部や腹部にかおをうずめ、もふもふする)をしてやりましたよ。 反省していました。
 明るいところで見てみると、まぶたを少しケガしており、どこかでケンカした模様。おそらくそれで帰ってこれなくなったんだな。
 とりあえず毛も良く抜けている時期なので、ひさびさに洗いました。罰も兼ねて。ふふふ濡れてうなぎのようになっておったわい。
 まぁ、帰ってくれて本当によかったです。 ICチップでも埋め込んどこうかなぁ。