格差の詩

 前にも書いた、「駅のゴミ箱から雑誌を拾うことがある」 という話。(最近は口が狭く取りにくいのであまりチャンス有りませんが)
 会社の同僚にいったら 「そんなみっともないことしちゃダメです!」 と叱られた。 反省。

 
 そんなある日、こ汚い風態のおっさんが、ゴミ箱から雑誌を拾っているのに出くわした。
 どうやらプロの方らしく、傘の柄のようなインスツルメントを使って雑誌をひっかけ、狭い投入口から手品のようにひょいひょい取り出しては、パンパンの紙袋にこれでもかと押し込んでいる。 大漁ですな。

 いいなーと羨ましくみていると、やがておっさんが何やら雑誌以外のものを釣り上げた。 カバーが掛かった文庫本だ(サイズ的にはおそらく小説)。 なんだろあれ。何でも良いから読む物が欲しかった所だし、あれ手に入れられないかなぁ。 自分で拾ったんじゃ無ければ社会的ステイタスの観点からもセーフだろうし。

 そういえば、私も都合良く読み終わったヤンジャンを持っていた!「トレードを持ちかけたらよかろう」というグッドな案を思いついたので、おっさんに声を掛けてみた。 ヤンジャンなら市場価値は高かろうし、飛びついてくるに相違ないわ! ビバ!
 声を掛けてみた。「あのー。」
 驚いたようにふりかえるおっさん。「なに?」
 「さっき拾った文庫本、このヤンジャンと取り替えてもらえませんか?」
 ・・・・しばしの間、胡散臭そうにこちらをじろじろ見るおっさん。やがて、どうも本気だと理解したららしいが、おっさんは「あかん。」とにべもなく断ってきた。冷たい。

 「えーダメっすか。ヤンジャン価値無いですか!?」と食い下がったのだが、やはり拒否。
 「ヤンジャンはな、いっぱい手に入るから要らんねん。モーニングとかやったら考えた」とのこと。厳しいなぁ・・・。
 結局、お仕事に戻られたおっさんを残して、すごすご引き下がりました。


 という話を、同じく同僚に語り「まぁ今度は自分でゴミ箱あさった訳じゃないし、多少はね?」と締めたら、
「いや、前よりあきませんって! なにしてはるんですか!」とまた叱られてしまった。

 
 何をしても怒られ。 あ、今日下の娘が幼稚園を卒業しました。