前回までのあらすじ

 去年の10月、私はあるプロジェクトに加わりました。 それは取引先にタダで装置を納入して、使ってもらうという企画です。
 そして私は次第に以下の状況を知り、愕然としました。
・今年(2005年)8月に装置を納入予定。なのに、取引先からは何も仕様を聞き出せていません。
・なぜなら、取引先が漠然と「こんなの欲しいよね」と言っていることと、ウチの出来ることがかけ離れているから。
・「向こうの機嫌を損ねるわけにはいかない」という命題もあって、取引先とのミーティングは毎回「そうっすね、それぐらいのシステム必要ですよね」という、うなずきマーチ大行進状態。 話全然進まねぇ。
 しかし、納期の関係上、現場(俺だ。)はそうも言っていられない。(部品製作の納期が長く、1月中に最終仕様を決定してもギリギリ)
 なので、現状ウチが出来る範囲のシステムと費用の案をいくつか作成し、「早く取引先と話をしてこい!」と課長に命じて向こうとのミーティングに行かせました。
 さて、ミーティングから帰ってきた課長は言いました。「大変だ。向こうの考えてることを勘違いしてた様な気がしてきた。具体的な話?してないヨ。」
 で、バタバタした末、副部長(特徴:その時思ったことを無責任に言う。しかし部署のキーパーソン)の提案で、以下の方向になりました。
・今までやろうとしていた方式はやめ。中止。 ワンオフを作るんじゃなくて、違う方式を用いた製品を作ろう。 で、その流れの中で、試作機が出来たらそれを取引先に納入しよう。(しかしその「違う方式」は、うちの独自方式なのだが素性が悪く、過去その方式で作った装置は結局一台も売れなかった。)
・そしてその装置は、小規模な所から大規模なセンターまで、幅広くつかえる様にしよう。(対象顧客の絞り込み無し!)
・その装置は今年中に作るのは無理。なので、取引先には出来るまでは手動(!)で乗り切ってもらおう。
・ こちら側として取引先に提案できる仕様が固まるまで、取引先に情報は漏らさない。(仕様を固めるのに必要な、「落とし所」は誰がいつ決めるんでしょうか・・・。)
ってのが12月までの流れ。自分で書いてて寒い。厳冬期の川越市より寒い。
 一番寒いところが、「まだ顧客は何も知らない」と言うことだ。「なんだかスゴイ装置をタダで作ってくれるんだって。うれしいナ!」程度の認識しかあるまい。