イボ勝負

 いつの頃からか、(少なくとも高校生の時から)ひざにイボがある。
 大きくもならず、小さくもならず、ずーっとある。
 で、このイボを見た嫁さん実家の人々が、口々にこういった。
 「そのイボなぞ、『イボ地蔵』さまにかかればイチコロよ!」
 まるで熱に浮かされる様に。壷とか売られるかと思った。

 どうも話を聞いてみると、近所の山中に、石の間に水が沸いている所があるという。
 その水を毎日塗っていると、ある日ポロリとイボが取れるらしいのだ。
 その霊験あらたかなことから、地元ではイボ地蔵と崇められている。

 口々に「私の顔のイボも根っこからぽろっと!」「ワシのイボも嘘みたいに消えたんじゃ!」と体験談を力説する家族達に、一瞬夜中の通販番組に迷い込んだような錯覚を覚えた。
 もちろん行ってみることにする。