ちょっと意外

 論文や技術書は別として、情景描写の入った文章を読むとき、どんな感じですか? 目の前に情景が浮かんでますか? 私、浮かんでます。
 「広大な草原」と書いてあれば、晴れた青い空と草(ススキの葉っぱみたいな奴)が青々と生えている情景が見える。 それは「雪原」でも「ビル街の路地裏」でも何でもいいんだけど、とにかく脳の中の記憶を組み合わせたどこでもない情景が映し出される。
 だから本を読むときは、他のものが見えません。話すことも出来ません。 現実の環境からの情報入力が、処理できない状態になっているようです。

 で、さらに言うと、自分が情景描写をする時は、同じようにその情景は「見えて」います。 それを文字として紙なりキーボードなりに落とし込んでいく訳です。
 目の前に見えてるものだから、詳しく表現しようと思えばどんだけでも長くかけます。
 もちろん、あまり見たことが無いものに関しては詳細にイメージできない訳で、たとえば「宇宙空間の情景描写」なんて書けないんですが。

 世の中の人は全て、文章を読んだり書いたりする時にはそうやっていると思っていたんですが、上記の話を妻としたら、「読むときはある程度イメージするけど、書く時そんなもん出てこない」と言われてひどく驚いた。
 そんなもんなんでしょうか。
 
 まぁでもきっと、世に言う「文才のある人」ていうのは、浮かんでくるイメージがすごく生々しく緻密な人で、かつそれを的確な言葉や文章で文字媒体に落とし込む能力のある人なんだと思う。
 そんなことを考えると「まるで見てきたように書いているから真実」なんていう判断は、危険極まりないなぁ。