行きつけの店

 駅前に行きつけの寿司屋がある。別に安くはないが、それほど高くも無い。 そしてまぁまぁうまい。
 なにより主人が不器用でいい。
 この前の節分の時なんか、「朝4時から海苔巻き300本まかなあかんねん・・・。」と泣きそうになっていた。
 なんでもアナゴを蒸したり卵を焼いたり、大変らしい。
 「そんなん調理済みの材料うってるんちゃうのん」と聞くと、「いや、おいしないから・・・」との答え。
 「じゃぁもうちょっと前から作ったら?」と提案するも、「海苔がしなっとなったらまずいから・・・・」
 アンタ不器用すぎるよ。そんなんやから300本も注文来るねん。

 まぁかほどに味に関しては気を使う主人なのだが、この店、なぜか生ビールだけは変な味がする。
 ナマっぽいというか、発酵くさいというか・・・・なんとも表現できないが、あまり飲んだことの無いビールのにおい。 
 古いのかなぁとも思ったりしたが、ビールが古くなった味は知っている。かえって(俺的には)いい匂いがするのだ。それとは全然違う。
 で、先日食いに行った際、それとなく聞いてみた。「なんかここの店のビール、あんまり飲んだことの無い味するねんけど・・・」
 主もしばし首をひねっていたが、「うーん、うちのビールの違うとこ言うたら、ビールが味変わらん様に、冷蔵庫に入ったサーバーにしてるぐらいかなぁ。」とのこと。
 というわけで、俺が「おかしい」と思っていた味は、新鮮なビールはそういう味がする、という可能性が出てきました。
 今度ビール工場の見学でもいってみるか。それで出来立てのビール飲んで同じ系統の味がしたら、完敗ということで。