実家に帰って母と会話していて、俺が小学生時代に通っていた進学塾の話が出た。
そこの塾長兼オーナーのババァ(結果としては志望校に入れて貰った言わば恩人であり、また若干の懐かしさや愛惜の念も持っており恨みがある訳ではないのだが、そうより他に彼女を表現のしようが無いので、以下ババァと呼ばしてもらう。)はとにかく強烈な個性のババァで、性格、発言、目つき、全てが善人というワクから程遠い。とにかく誉めるということはまず滅多にしない。
(そんなんだが進学塾としての実績は抜群に良かった。いや、そんなのだから、というべきか。)
当時は子どもだったので大人という存在に対し先入観もなく、そんなババァを「大人にはこういう人もいる」として素直に受け入れており、特にどうとも思ってはいなかった(まぁ嫌なババァとぐらいには認識していたが)のだが、塾生の母親達にとってはかなり腹に据えかねる部分もあったらしい。ふーん。初耳だ。
なんでも母親とその塾長のミーティングみたいなものが良くあり、そのたびに子どもの能力から性格から教育方針から、とにかくもう当たるを幸いボロクソに言われていたと。
そして同じ目にあっている母親同士、その会がおわった後は結束して、近所の喫茶店等なだれ込んでババァのやり口にグチりあい、かつ励ましあっていたという。
そんな中でも、とりわけ気の毒な母親がいたことを、うちのオカンは良く憶えていた。
子どもである所の塾生が、ババァにとって特に心象が悪く、その母親はことあるごとにクソミソに言われていたらしい。「こんな子はもうあかん」みたいな。もう聞いてて気の毒やったよ、と母は言う。
(確かに俺も、彼が講義中にチクチクとイヤミを言われていたような記憶がうっすらあるような・・・。まぁみんな言われていたけど。)
たぶんマイペースなところがババァの癪にさわったのだろう、とのこと。
話は少し変わって。
このババァの息子も実は同じ塾で講師をしており(会長と社長みたいな関係だな)、またコイツが白髪頭だったからけっこういい歳(40歳ぐらい?)だったと思うんだが、二言目には「そんなんで将来超一流になれるかぁッ!」とヒステリックに叫ぶ粘着質でキャラの立ったオヤジだった。
今もし俺が当時の彼に会えたのなら、かなりな小物感を感じ取れるんだろうなぁ。 まったく濃ゆい親子だ。
まぁそれはそれとして、彼の口癖は「超一流」だった訳だが、私の知っている限りでは、その塾生で現在もっとも「超一流」というポジションに対しイイ位置に着けている人物の1人として、友人K(通称・「王子」)がいる。
だがそいつが実は前述の、「ババァにクソミソに言われていた子ども」だ。
わからんもんだというか、なんというか。
母親からそんな話を聞いて、なにやら感慨深かった。