英才教育

 ここ最近、子どものお気に入りの遊びがある。それはかくれんぼ。
 面倒くさいので妻は避けており、子どもはかくれんぼに餓えているので、休みの日には、重点的に私がつきあわされる。
 
 で、このかくれんぼ、専ら室内で行われるのだが、たかだか2LDKの我が家ではうまく隠れられる所なんて3箇所ぐらいしかない。
 なので繰り返すうちに、徐々に質の悪い隠れ場所(つまりすぐ見つかる所)を利用するようになってしまい、現在は「カーペットの下にもぐり込む(膨らみで一目瞭然)」とか、
「椅子に棒状に横たわる(隠れてんのかそれ)」等、かなり強引なものになってしまった。
こうなるとオニの方も探す必要がないので、競技の内容が全く変質し、「如何に早く見つけるか」ではなく、「如何に気付かないフリをしてボケ通すか」が目的化する。
 隠れる方も、「如何にうまく隠れるか」ではなく、「如何に『ぼく隠れてるつもりなんだよ!』感を演出するか」に焦点が絞られてくる。


 という訳で現在、我が家のかくれんぼは、「部屋の隅カドに直立(一応、顔はスミに向け隠れたつもり感を演出)」するわが子の周囲を「あれぇ、この辺にいた筈なんだけど何処に隠れたのかなぁ〜」と呟きつつオニ(俺)が徘徊し、ボケ切れなくなった方が負け、という完全に間違った形態に進化してしまった。
 合間には周辺住人(妻)への聞き込み (「この辺で子ども見ませんでしたかねぇ」 「さぁー知らないねぇ」という小芝居) も実施され、かなり凄絶な家族ボケ合戦の様相を呈している。
 

 これはいかん。 とても教育上良くない様な気がする。