獅子奮迅菩薩ここにあり

 ここ最近、会社での昼飯は、中途採用仲間3人と4年目1人の計4人で食っている。
 その中で猫好きは私ひとり。なので、ことあるごとに彼らに猫の素晴らしさを説いている。
 
 
 あるときは、何の話をしていても、接ぎ穂を見つけては強引に猫の話題に持っていく。

 例えば、最近夜は寒くなったね、とでも誰かが言おうもんなら、
 「あー風邪ひくね風邪、寝てるときに。それは。ひいて死ぬよ。絶対。」と脅し、
 「それを防ぐには、暖かくして寝るしかないね。でも布団じゃ不可能だね。隙間から風はいるし、一番寒い明け方は、蹴ってしまってる頃だし。 ムダだね。所詮死ぬね。」とさらに不安をあおり、
 「一つだけ方法はある。昔、嫁さんが猫を飼っていた時、首元にマフラーのように寝られたという。寝苦しいんだけど、はらってもはらってもしつこく戻って(中略)とにかく暖かだったと。」とソリューションを提示し
 「まったく尊くお役立ちな生き物なのだよ、ぬこ様の奴らと来たら。飼うべし。」と締める。

 そうしているうち、メシ仲間達も会話の2手、3手先を読んで、猫に繋がりそうな話題を避けるようになったので、
昨今は自発的に話題を出すこともある。

 「会社の近所に、ゴミの日でもないのにゴミを出してるマナーの悪いマンションがあって、それを毎朝ネコの奴らが破って散らかしてるんだよね。
 あれはきっと、不埒な心無い住人を罰するため、わざと散らかしてるんだと思うんだ。
 まったくぬこ様は、道義心にあふれた見事な(中略)飼うべし。」
 
 というように。

 そうしたら、猫に関する発言を完全に無視されるようになった。 もう見事な呼吸で。
 
 しかし負けてはいけないのだ! 彼らが猫様の素晴らしさを知るようになるまでは! 
 無知な衆生が一時的に嫌がることはあっても、それは良薬口に苦しの通り。
 猫を絶対の価値観として帰依することが、人間にとっての真の幸福であり、それゆえ、私は彼らのためを思ってこそ活動しているのです。
 なんと崇高なことだろうか。