麒麟児

 子ども(大)と近所のホームセンターにいった時の事。
 そのホームセンターは、小さい催事場があって、「堺の包丁市」だの「鉄道忘れ物市」だの「液晶テレビ市(シャープとタイアップ。それほど安くない)」だのが入れ替わり立ち代り催されているのだが。
 そんな中に、「生活アイディア品・便利品市」みたい企画があって、その折には「表面が凸凹していて掴んで擦るだけでゴボウやジャガイモの皮がむける手袋」だの「メガホンみたいな形状になっていて、強風下でも線香に着火し易いライター」だの細々した物が沢山並んでいる。お、いいな!と思った以上の価値は無いのがお約束みたいな品々だ。もちろんお約束、凝った形状のツボ押し具も多種そろっている。
 そんな中、娘が激しく興奮した様子で私を呼んだ。
 「とっ、とーやん、これ凄いよ!! 見て!!見て!!!」
 指差すのは、テレビデオでエンドレスに再生される実演映像だ。
 見ると、陽気な外人がワックス状の半固形洗剤を用いて、絨毯にこぼしたクランベリージュースから、タイルに落書きした油性マジックまで、あらゆる汚れを手品の様にイレイズしている。
 「凄いよね!! 魔法みたいだね!」
 胸中に溢れた事が多すぎて、「うん、そうだね。」としか言えませんでした。


 心あまりて、言葉足らず。 by古今集