おうちうります6

 昨日見学があった。これで3組目。 若い夫婦だった。嫁さんの方がしきりに「うーん、やっぱり部屋がもう一つ欲しい・・・」と繰り返していたので、無理そう。
 掃除面倒くさいんだから、あまり脈の無い客を連れてこないで欲しい。
 自分が家を探している時は、1日に何件も連れまわす業者にひどく閉口したが、あれは見られる家にとっても迷惑な話だったのだな・・・。 まぁ業者は痛くもかゆくも無いので、少々脈がなくても連れて行くのだろうけど。
 
 
 こんな事を思い出した。(ひょっとすると前に書いたかもしれないが。)
賃貸に住んでいる時、水道筋の新築マンションを見学したときのこと。 それは和田アキコ興産(仮名)というかなり大きな業者で、有名なワ ]-レ(仮名)というブランドのマンションを神戸じゅうにぼこぼこ建てている、いわゆる大手だったのだが。
 このマンションは超お買い得ですよ、とプッシュしてくる営業に「中古も抵抗無いんで、新築にはこだわっていないんだけど。」と伝えると、「わかりました! うちは中古も扱ってるんで、Iさんの言う価格帯の平均的な中古物件を参考に紹介しましょう!」とその場で調整し、すぐに参考物件に連れて行ってくれた。
 ところが、この物件がイメージ悪かった。そこそこ広くて場所も良いんだけど、全体にうす暗いし、部屋もヤレた感じがするしで、えーこんなのいやだなぁって感じ。 住人も明らかにイキナリ言われたらしく、中学生ぐらいの子供しかいなくて、暗い顔して黙ってたってるだけで実にしんきくさい。何も聞けず、長居もせずにそそくさとその物件を後にした。
 マンションの案内会場に帰る車でその営業曰く。「やっぱ中古は中古なりでしょ?  中古は確かにちょっと割安だったり、同じ価格でちょっとよい条件に手が届くかも知れませんけど、新築の方が絶対良いでしょ? やぱり気持ちいいですよね新築は!」はぁ。なるほど。 で、その時は「ちょっと考えます」といって保留したのだが。

 後日、他の業者で超アタリの担当者(今のマンションは彼から購入した)に色々物件を紹介してもらっているとき、彼が「うーん、これはどうしようかなぁ・・・」と資料を手に悩んでいた。
 聞くと、条件的にはピッタリなんだけど、あまりおすすめできないんで見せないでおこうかな・・、らしい。
  もしやと思い以前見た上記の暗い物件の事を話すと、ビンゴ。
 「あ、そこです。間違いありません。条件に較べて価格も安くていいんですけど、売主さんはローンが払えなくなって急ぎ売りたいらしくて・・。そんな状態なんで家の中も荒れてるし、何より家の雰囲気がなんとも暗いんですよね。 私、個人的に幽霊とかは信じないんですが、いろいろ思う所もあって。『次は一戸建てたてる!』と言ってる上がり調子の売主さんの物件は、雰囲気も明るいし、次の方にも良いことが起こってる気がしますし。反対に、長寿をまっとうなさったとかなら別なんですが、なにかご不幸や事情がおありになった物件だと、完全に空き家でもなぜか雰囲気が暗いし、次の方にまでなんか良くない事を引きずるような、そんな傾向がある気がするんですよね。
 だから、そういう『ケチのついた』物件は、私のお客さんには一見お買い得に見えても勧めないことにしてるんですよ。」
 あぶなかったぁ・・。だいたいそのワ ]-レ(仮名)の営業、「ここはとてもいいですよ! 山手幹線より北で完全にお屋敷街ですから、商店街も上品で、下町みたいな感じとか、変な人とか皆無ですからね!」とか超適当いってたしなぁ。 おまえいっぺんその辺見て来い!って感じ。水道筋は好きだけど、それはウソだろ。
 それにしても気の毒なのは、ダシにされて無駄な対応をさせられたその売主さんだ。自分も売主となった今にしてしみじみ共感させられる。 まぁその物件は、部屋は荒れ放題だったけどね・・・。片付ける前の、子供が散らかしたままのうちみたいに。