水戸のご隠居

 隣で開発している製品が大変だ。製品に不可欠なモジュールの納期が予想外にかかり、発売時期が延びるかもという。メーカーにおいて発売時期の延期は大変な機会ロスであり、切腹モノの大事である。
 で、購買担当に確認すると、「まぁウチの部長クラスから、そのモジュールのメーカの会長呼びつけて『なんとかしろやゴルァ』って詰めよって『なんとかします』って言わせたらしいんで、なんとかなるだろうけどね」
 そうそう、肩書きのある人間はそういう時のために使うもんだよ。めでたしだな。さすが一部上場。


 そして次の日、その製品のメンバが深刻そうに話し合っている。なんとかなったんじゃないの?と聞くと、「向こうが『やっぱ無理。中国の工場が他のもの作るんでラインがパンパンで、作れない』って言ってきたんだよ」なにー!!
 「えー! 『ウチと他の取引先とどっちが大事なの? 選んでもらっていいよ?』って脅したら良いんじゃないんですか?」
 「うん、でもねその『他のもの』ってiphone4sらしくて。」「・・・さくっと選ばれちゃいますね。」「・・うん、断られた瞬間はみんな激怒して威勢のいいこと言ってたんだけど、それ聞いたら『発売延びちゃうけどどうしよっか』って話しかしなくなった。」


 弱いな一部上場!