財産権とは

 転職し、今の会社に着任したのが2005年の11月1日。もう丸6年が過ぎ、7年目に突入となった。
 前の会社にいた時間よりも、長期間在籍していることになる。が、愛着感のあるのは前の会社だ(好きで辞めといて身勝手な言い草だが)。
 冒頭の言葉にそれが象徴されるように、普段でも「今の会社」と言ってしまう。「ウチの会社」とか「俺の会社」と口にすることに違和感と抵抗があるためだ。 会社に対し気分的な距離感があるのだな。組織の一員として埋没できないというか。
 まぁ、前の会社(転職してからしばらくつい「うちの会社」といってしまい苦労した)は同期や先輩、直接の上司には恵まれていたたため、今でも非常に思い入れがあるのだな。
 じゃぁ逆になんで転職したの、というと、子供が生まれる(東京で親戚のいない子育ては大変)とか、いつか神戸に戻りたかったとか、他の(ちゃんと儲かっている)ビジネスモデルを見たかったとか、まぁいろいろあるのですが、組織としての会社の愚鈍さとか身勝手さに閉口したというのも理由としてはある。
 例えばこんなことがあった。


 当時外資による買収解禁とかホリエモンがどうのとかそういった話題が流行?しており、前の会社も防御策を検討していたのだろう。他企業との株式の持合を再開したりもしていたようだが、「社員持ち株の比率を上げる」というのも思いついたらしい。ある日、課長からこんな指示がまわってきた。
 ●社員持ち株制度(毎月定額を積み立てて、自社株を購入する)に全員加入してください。
 強制ではありませんと言いながら、入らない部下がいると課長自身が上部から強烈なプレッシャーを食らうという、まぁ事実上の強制加入だった。(すでに退職が決まっていた私はもちろん無視しましたが・・・)
 推奨された額が月1万円だったか1000円だったかは忘れましたが、たいていみんな1万円ぐらい入ったんじゃないかなぁ。
 なんか、そういう姑息な所がすごくイヤだった。そのしばらく前のリストラ騒ぎで田舎の工場を整理したときに、自主退職に応じない地元社員に対し、遠隔地の営業やれと辞令出したりとか(田舎でずーっと暮らしてきた現場一本の中年に、完全な嫌がらせですな)。なんかこういう事があって、「都心の大本営(本社)は、身の回りで起こっていない事にはとことん身勝手で残酷になれるんだなー」とシミジミ感じいってしまい、もとから心の中にあった組織不信みたいな物が決定的な信念になってしまったようだ。

 ちなみに持株会の顛末。 その後株価は3年ぐらいかけて2.5倍くらいまで順調に上がったのだが、その後のリーマンショックで急落し、程々の含み損をみな抱えている状態になってしまった。 ところが直近さらに暴落し、6年前の半額にまでなってしまった。まぁこれはしばらくしたらある程度戻ると思うが、6年前から持ち株会始めた社員は当面(かなり長期)含み損かかえるんじゃないかなぁ。 ひどい話である。