チェーン店亡国論

 大学時代、わりと本州を車であちこちフラフラしたが、そこで強く思ったのが、「田舎の幹線道路沿いは日本中同じ景色だー」ということ。
 犯人は言うまでもなく、チェーン店だ。外食産業やコンビニ、スーパーを筆頭として、まぁある程度チェーンにも地方的要素はあったり(関西はコーナンが多いとか、山田うどんは埼玉に多いとか)するものの、どこでもみるような看板ばかり。
 基本、個人経営の店はあまり目に付かない。(か、目立たないか)

 ここ何十年、田舎といえば車の生活だろうから、普段の買い物も多くは、便利な幹線道路沿いのこういった店でなされると思ってよかろう。つまり、地元の人の消費の結構な部分が、実は地元に密着していないチェーン店でなされるということだ。
 雇用の面から考えるとこれは問題ではなかろうか。
 「いや、全国チェーンでも、働いている人間は地元民だから問題ないのでは?」という考え方もあろうが、チェーン店の場合、仕入れはどこか別の場所から一括で行っていることがおおかろう。地元の小さな商店だと、地元の問屋を介している場合も多いだろうし、生鮮食品にしても、地場産の割合が多いであろうことは想像が付く。買い物が生み出す地元経済への波及効果は、チェーン店は小さいわけだ。効率は良いんだろうけど。(GDP本気で増やしたけりゃ効率を悪くしろ、という議論を思い出す)
 また、チェーン店の場合は、儲けた金は本社(多くは東京だろう)に送金され、本社の人員や経費に使われる(つまり後は東京で使われる金になるわけだ)。あまった金にしても、地元信用金庫とかではなく、大手都銀に預けられるのだろう。(地元の中小企業の運転資金になったりすることはないだろう)

 
 こう考えると、安くて便利だよね、となにげにチェーン店で買い物をすることには見方によっては罪深い面もある。
 建物もまばらでだだっぴろい田舎風景の中、街道沿いにだけ場違いにきらびやかなチェーン店が乱立するさまは、荒野に我が物顔ではびこる外来種の雑草にさえ見えることよ。(そしてただでさえ薄い地面の養分を吸い上げて自分だけ成長し、痩せゆく土地に在来種はいっそう枯れていくイメージだな・・・)

 
 以上、外食を個人経営の店で行おうとする私の、理論武装でした。