鬼が笑う

 で、その面接の場で決まった目標は、現状の業務をずるずる続ける項目ばかり。
 「〜の改善の可能性を検討」みたいな。
 思わず、「そんな目先のことしてても、これ、納入先が『そんなもん欲しない』言うたらその瞬間にポシャるんちゃいますのん?」と聞いてしまった。課長の答えはこう。「その通りや」
「・・・・・じゃぁいつ、取引先にコレでOKかどうか聞くんですか・・・?」「そんなもん知らん」
 仕事しろよ! それを聞いてはっきりさせるのがお前の仕事ダ!!
 結局今までの仕事を期限も無いまま(やるかどうかもわからないまま)続けることに。
 でも取引先は、今年の9月にはなにか物をもらえると思ってんだよなぁ・・。去年春からずーっと。
 確実に言える事は、このままやっても絶対に、装置の今年中の納入なんて無理ってことだ。
 今の状態を例えるなら、
・どう考えても作るのには3年はかかる巨大な橋なのに、顧客と約束した期限が1年後に迫っている。
・そもそもこっちの実力では橋なんか作れない。フェリーを作って定期運航してもらうという代案ぐらいしか出せないレベル。そのフェリーもまだ研究段階。実用化には数々の問題点が残っている。(しかも現状他社から製品として出ている船より性能は劣る)
・しかしこちらは、フェリー案か、(なぜか降って湧いた)トンネルを掘る案にするかで未だに紛糾している。いずれにしても、2年はかかりそう。
・だが課長が設定した目標は、「とりあえずフェリーの水漏れを直していこうね。半年かけて」というぐらいのもの。
 こんな状態で期日までに何か納入できたらそれこそ奇跡と言うもの。