遠方より

 永らく連絡をとっていなかった友人と、やっと連絡が取れた。 とても嬉しい。
 奴は学生時代から要領のいい奴で、研究も着々とソツなく進め、教授にも気に入られていた。 その時は「要領のいい」としか感じることが出来なかったのだが、今にして思えば、彼は「仕事のしかた」と言う物をしっていた。
 俗に言う「ホウレンソウ」が出来ていたし、設定した仕事の落とし所にむけて、効率よく手を動かしていた。 安定感があり。危なげながないのだ。
 彼のそれが天性の物なのか、大学に入る前の人生で身につけたものなのかは知らないが、俺には到底出来ないことで悔しかった。
 社会人になってからも自分は要領が悪く、そんな時いつも彼を思い出していた。 奴ならこんな風にはならないだろうにと。
 やがて何年かたち、自分に合った課題解決のスタイルは「大量の知識をまず体系づけてストックし、それを組み合わせること」であり、それまでの要領の悪さは仕方なかったと言うことを悟った。 そしてなんとか人並みに仕事を回せるようになったと自分では思っているのだが、彼は今頃どんな仕事の仕方をしているだろうか。
 一度見てみたいものだ。