格差の作法

 家族で外出したままやがて夕方が訪れ、今日は外食しちゃおうということに。
 レストラン候補はいろいろあったものの、身分相応にマク斗ナルド(仮称)という駅直結のハンバーガー屋に決定。
 でも休日の夕方、混んでるだろなぁ・・と思ったらガラガラ。 家族連れなんかいやしない。 コーヒーで粘ってる客ばかりで、ようやく席の1/3が埋まってる程度。深夜か。
 そういや売り上げ減ったってニュースで見たなぁ・・と思いながらメニューを見たら、なにやら高い。マク斗ってこんな高かったっけ?
 企画物のハバネロなんたらが単品で500円、セットで800円。 いやいや、800円あったら余所で絶対もっとマシなもん食えるから・・・!  ダブルチーズやテリヤキ等、レビュラー陣のセットなら600円ぐらいで食えるけど、吉野家牛鮭定食500円やし。 
 思わず「そら客こんやろ」と言ったら妻に「思っても口にだしちゃいけないことがあるっていつも言ってるでしょ!」と叱られました。
 が、そういう妻もその数十秒後、スマホで「見せるクーポン」の画面をみながら、「せ、セットの割引が10円て! いつからこんなケチに・・・!」と取り乱していました。

 レジから一歩離れてそういったやりとりをしている間にも、ポロポロと客は来るのだが、見ているとみんなコーヒー1杯とかの注文。誰もバーガー買わない。
 ハバネロなんたら(結局セットで買った)を食ってる間も、面白かったのでずーっとカウンターを見ていたのだが、やっぱり途切れがちな客のほぼ全てがコーヒー系。 スタッフが5人もいるのに、みんな暇そう。 休日の夕方に絶対やばいこれ。

 
 推測するに。


中の人「安売りで集客増やす路線では、これからの成長は見込めない」
      ↓
中の人「客単価あげて、利幅を増やせば良いのだ! ファミリーに軸足を置いて、レストランのマーケットを食ってしまえ!」
      ↓
安いから来ていたファミリー客「あ、ファミレスいくわ」
安いから来ていた非ファミリー客「あ、牛丼屋いくわ」
      ↓
そして、立地は良いので、「100円で粘れる喫茶店」として利用していた客だけが残りましたとさ・・・。


ちなみに企画もののハバネロ、開けた瞬間生ゴミのにおいがするのがちょっとキツかったです。 
そのほかのバーガーはまぁ「マク斗」なりにおいしかったけれども、モスとは比較にもならないレベルなわけで。
あ、でもコーヒーは普通においしかったです。て逆効果やな。


 世間様では「マク斗のくせに身の程を知れ。成功するわけないやろ」と叩かれるとは思いますが、私は「安かろうまずかろうから脱皮する戦略」は別に悪くは無いと思います。 芸風変えて飛躍した企業なんていっぱいあるわけで、ビジネスの世界は「勝てば官軍」にしか過ぎません。 リスクを取った者を、したり顔の後知恵でバカにする奴は大嫌いですし。
 しかしその上でなお、「モスより高い金払って、モスよりマズいもん喰う人間がなんで存在するって思ったの?」と聞いてやりたい思いは残ります。 だって今調べたら、モスって700円ぐらいあったらセット食えるんだもの。

 まぁ、ネームバリューもあり、日本中の一等地にすでに店舗があるわけで、今回の失敗は「惜しい」とは思います。 本気で味の改善に取り組み、『えぇ、これマク斗?! おいしくなったねー!』と言わせる事が出来、かつ内装も落ち着ける感じにかえていたら、だいぶ結果は違ったのではないでしょうか。

 正直な感想は、「あの店つぶれて、モスかサブウェイに変わらねぇかなぁ」ですけれども。