エンジニアの宿痾

 さて、この風景を見るに、習性とは恐ろしい物だと思う。
 開発というこの商売、「駄目そうだから、やめとこう」で終わらせていては話にならない。 
 むしろ果実を得るためには、「一見無理そう」「誰もが不可能だと思う」「まだ前例の無かった」物にチャレンジする姿勢が求められる。 常識に屈していては話にならない。
 「誰が、何を無理と言っているのか」「本当の課題は何なのか」「何を解決すれば良いのか」を解きほぐし、乗り越え、もしくは回避していく、そういう仕事だ。


 この投資話だってそうだ。「そんなうまい話が有るわけが無い」「大枠が怪しい」で終わらせていたらそれまでだが、紹介してくれた人にしても後輩も、門前払いせず、疑惑や疑念を調べていった。その結果、どれにも投資会社はそれらしい「答え」を用意していたので、彼らは「リスクは有るが、行けそう」と判断している。 
 たぶん私も、細かく突っ込んでいったら同じ判断をする可能性が高い。

 
 じゃぁなぜ私はこの話に投資して無いのか。 それは「細かく突っ込んでいっていない」からだ。 
 ざっくり、「外貨投資はゼロサムのはずやのに、たかだか自動運用で5%や10%も利益が上がるのは根本的におかしい」「そんな旨い話が本当に有るなら、人材も資金力もケタ違いの大手が黙っている訳が無い」と判断したのだ。 


 正直、目の前で「この半年で○○万円資産が増えた」と喜んでいるのを見るのはかなりな誘惑で、「やっぱ捨てて良い金ぐらいやってみようかな」と幾度もおもうんだけど、今は我慢している。


 さぁ5年後に笑っているのは、どちらだろうか。