オーバースペック

 先日、業者から送られてきた部品(数百個)を全品目視検査し、そののち組立工場に送るというミッションがあった。
 実作業としては、段ボールを開梱し、部品をくるんでいるプチプチをはがし検査した後、再度梱包するという単純作業だ。
 目視検査は設計者である私が実施するとして、開梱・梱包作業までやっていては1日では終わらない。
 しかし工場には早く送らなければならないので、(比較的)暇な若い衆を二人狩ってきて、それぞれ「開梱して並べる作業」と、「ふたたびプチプチにくるんで段ボールに梱包する作業」を押しつけた。
 最初にごく簡単にひとこと、「俺が目視検査するから、並べて、また元通り梱包して欲しいねん。工場に送るから。」とだけ伝えると、作業は始まった。
 最初は手探りだったが、すぐに二人で意思疎通しながら作業を最適化し、段ボールの半分ほどまで来たら完全にスムーズに流れ出した。
 私は検品作業に専念しており、たまに「ん・・・これどうしようかな」とペースを乱すのだが、その時は上流工程はさっと手を緩め、下流の仕事を取りに行く。逆に、上流のペースが落ちたら(新しい段ボールを開梱するとか)、下流がさっとフォローに入る。 非常に快適に作業を進められた。


 今回の作業、別に専門知識等は必要の無い単純作業ではあるが、なんだか、「労働力のクオリティ」みたいな物を実感した。コンビニでも大企業でも良いんだけど、このレベルで飲み込みが早くて気が利く労働力を狙って確保しようとしたら、結構むずかしいんじゃないだろうか。
 「狙って」というのがポイントで、学歴に100%に付随する物でも無いだろうし、面接なんかじゃわからないだろうし。 3日も一緒に働いたら良いんだけどねぇ。
 (「通常業務は無能だけど、クリエイティビティが凄い」みたいな尖った人材は、どうせ日本の大企業には求められてないんだろうし)

 
 まぁ事実だけ述べると、今回の結論はこれですな。
 「東大院卒が二人いると、段ボールの開梱作業が早い。」

 
 たぶんですが、「勉強のできる奴は仕事が出来ん!」とか言う人は、私と同じ贅沢はしたことが無いんだと思います。