ガチ勝負

 会社の人に誘われて、イカ釣り行ってきました。 垂水港から釣船を数人で借り、船頭さんが止めてくれるところで糸を垂らすという気楽なものです。竿も貸してくれるし。・・・・という認識でした。

 この釣船屋、HPもあり、「きさくで経験ゆたかな船頭さんが、ビギナーにもわかりやすく釣りをお教えします! この道30年!」とかうたってあるので安心!・・・だった筈でした。

 朝5:30、薄暗い中集合し、船に乗ります。 小さいながらもビニール屋根がついており、直射日光を避けられるのは好印象。
 で、港を出て10分ほど走らせると、船が止まります。と、操舵室の船長さんがスピーカーでぼそりと呟きます。「・・・水深15メートル。」
 なんなの? もう釣れって事? 水深の情報はどう使うの? 底まで糸を落とせば良いの? それともただの目安なの?
 なにかは分からないものの、みんな糸を垂れ始めたので、やり方を経験者に聞きながら私も糸を垂れます。
 しばらく待てど・・・ぴくりとも来ません。
 何かやり方が悪いのかなぁ、とも思いましたが、他の方もまだ一匹も釣れていません。
 やがて30分ぐらい待った頃でしょうか。 なんの前触れもなくまたスピーカからぼそりと。「あげて」

 上げてって? 糸をしまえって事? 半信半疑の中、みんなが糸を巻き上げて竿を納めたら、船が走り始めました。場所を変えるようです。やっぱあんまり良いポイントじゃなかったか。
 ていうか船頭、超無愛想だなぁ。「きさくで経験豊かな船頭さん」はどこだよ。そもそも電話ボックスみたいな操舵室から出て来もしねぇよ。
 で、塩屋のへんまで足を伸ばしてきました。 おお、海釣り公園が見える。良く見知った風景を海から眺めるのも乙なモノだの・・と思ってたら船が止まり、またもやスピーカからアナウンスが。
 「・・・・20メートル。」もはや「水深」という単語さえもありません。 が、みんな糸を海にたれ始めました。 そして20分ほどして、相変わらず誰も釣れないまま唐突に「あげて」宣言。もうちょっと何か言えねぇのかよ。
 結局その後も、15〜30分ごとに「○○メートル」と「あげて」の繰り返し。 一時は完全に淡路島圏内(浜まで泳げるぐらい)まで足を伸ばしたりしましたが、イカはぴくりとも来ず。 
 12時を過ぎたあたりで「あげて。おわり。」という素っ気ないアナウンスとともに、垂水港に帰って終了しました。
結局、船頭のたった一言に忠実に従い、海水を奴隷のように引っかき回すことを繰り返した挙句釣果無し、という結果におわりました。 誠にしょっぱい。海釣りだけに。ってうるさいわ。
 いや、実は正確にはメンバーでたった一人、1匹だけ釣りました。 それも、「あげて、と言われて糸を引きあげたら引っかかっていた」というやる気の無い感じで。サイズも小さく子供の手のひらほど。
 なんというか、バカにしているというか、これならゼロの方がマシ。
 港に帰ったら、船頭の奥さんとおぼしき人が愛想良く出迎えてくださり、「おわびという訳ではないですが、これお土産にしてください」と全員に袋をくれました。
 アジでも入ってんのか? と思ったら、「ご飯に混ぜるだけ! タコ飯の素」が一袋はいっていました。 釣ったっていう言い訳もできねぇよコレ。
 まぁとにかく、「客商売しててあんなに無愛想な人間がこの世に存在する」ということが分かっただけで今回は良しとします。明石海峡大橋、下から見られたし。
 これなら出来レースでも地引き網の方が・・・なんて言わないゾ!(言ったら負けだと思っている)