哀話

 遠い昔、スーパーの飲み物コーナーで、とても美味しそうなパック飲料を見つけた。
 パック側面にバナナやイチゴ、メロンやケーキの写真が載せてあり、超そそられる。普通のパックより小さくて量が少ない所も、激しくプレミア感が漂う。私は、激しく母にねだった。
 だがウチは生活必需品以外には財布の紐が超堅く「そんなもん要らん要らん! なにすんのん!」と母もなかなかうんとは言わない。
 が、私がめったに物をねだらない子供だったこともあり、最終的には母も根負けして「アンタこんなもん欲しいのん!?」とかぶつぶつ言いながら買ってくれた。

 で、期待に爆発しそうになりながら家に帰り、早速飲んでみた・・・・・・・何やこりゃ。
 バナナの味もイチゴの味もせん・・・・??ていうか脂っぽい牛乳みたいでマズイで?そもそも甘くないし?? 
 当時の私の幼い心は、巨大な失望と疑問に押しつぶされそうになったものだ。

 そしてずっと後、少年は・・・・それが生クリームというもので、砂糖を加えて泡立てて使うものだということを知る・・・・。