幼児虐待に思う

 最近多くマスコミで取り上げられる幼児の虐待だが、不思議なことがある。それは、子供が乳児でなく、3歳を超えているのも珍しくない事だ。
 なぜそんなに不思議かというと。
 自ら子供を育ててみて判明したのだが、産まれた子どもを曲がりなりにも2歳や3歳まで育てるのには、異常な程の手間隙がかかる。つまり、虐待するような手を抜いた育て方では、無力な人間の乳児は絶対に生後の1年間を生き残れない。
 (どれくらい手間かというと、古今東西、ある程度以上富裕な層が、他人に自分の子供を育てさせる文化はどこにでもある程だ。感情論や価値観を超えて、それぐらい間尺に合わない面倒くさい行為だということだ。)

 ということは、「血も涙もない」様に報道される犯人(主に母親)にも、虐待に至るまでに、寝るものも寝ずわが子を世話した期間があったということになる。これは大事な事だ。
 そういう人物がわが子に手をかけるまでに至ったプロセスや理由を分析することが必要であり、「こんな酷い人がいるなんて信じられませんね(私達とは違う人種なんですね)」で終わらせるのは誠に思考停止というものだろう。
 まぁ、「生まれながらの鬼畜人間の所業」としてしまえば安心感は得られるだろうし、マスコミもそういう切り口で報道するのが無難なのかもしれないけれども。