高級腕時計ワルツ〜最終章(か?)

 面白い経験をしました。

 高級腕時計に関して、いつものループ(ほしいなぁ⇒でも高いなぁ⇒気付くとスーパーコピーのHPを閲覧⇒妻に止められる⇒最初にもどる)にハマッていたある日のこと。

 妻に、「キムタクがCMでしている時計、かっこいいんじゃない?」と言われ、「ブライトリングかぁ。デザインは好きなんだけどそんな高くないからなぁ」となにげに答えてから気付きました。「ん?俺、『高いもの』が欲しいの?」
 機能的・性能的な価値の伴わない高級品(つまり「ブランドだからというだけで高いモノ」)を非常に嫌う自分に、そういった「高級品だからほしい」という気持ちが生息していたことに非常に驚きました。 
 そりゃぁいつまでも購入に踏み切れないわけです。自分のなかで矛盾する勢力が完全に対立しているのだから。
 でも良い機会だったので、「金持ちのシグナル」なんか欲しがってどうすんだ? と自分に問うてみました。


 ●友人や知人に「金もってるなぁ」と思われたり、ブランド品をうらやましがられたりする。
   ⇒親しい友人なら、等身大の私と(家のローン背負っている)現状を知っているわけで、なにを勘違いしてくれるわけではない。それに、親しい友人に「高いだけのブランド品を必要以上に礼賛してくれる人間」もいないし、そもそも、そういった価値観の人間とあまり親しくなれない。
   あまり親しくない知人には「金もってるなぁすげぇ」と思わせることができるかもしれないけど、それが嬉しいかと言えば正直どうでも良い。
 ●社会的ステータス(この人は『ちゃんとした人』なんだ、というシグナルになる)
   ⇒これはあるかもしれない。高い店や、結婚式等のハレの場でこのシグナルを出すことで、対応が変わってきたり周囲を安心させることができるでしょう。でも、「ちゃんとした服や靴や髪型」の方がシグナルとしてコストパフォーマンスが高い気がします。
 ●モテる
   ⇒会社の後輩が、「モテると思いデイトナ(ロレックスのそこそこ高いモデル)を買った」と言っていたので、この項目を加えてみました。 本当かどうかは知りませんが「女が金持ち好きなのは、男が美人が好きなのと一緒」と聞いたことも有りますし。
   しかしそもそも妻子がいてモテてもしょうが無い事情がありますし、男として残念なことに「金を持っている事を高く評価してくれる女性」は、そもそもが私にとってモテて嬉しいタイプでは無い気がします。
 ●自己満足が得られる
   ⇒「ふっふっふ、俺もこんなモノを持つようになったぜ」、という俗っぽいステータス感と、「ふっふっふ、高いものは良いなぁ」という理屈抜きの満足感。
    意外かつ自分では認めたく無いですが、残念ながら「欲しがり病」の中には確実にこの要素が存在するようです。


 とまぁ結局、「オトナの証として欲しい」と「高いものが欲しいから欲しい」という二つの側面が発掘されました。 前者はともかく、後者はかなり自分としては美しくない理由です。
 人間いずれは必ず死ぬ無意味な存在ですので、理屈抜きの欲望を頭ごなしに否定するのもそれはそれで無粋とは思うのですが、当面(ふさわしいオトナになるまで)見送ることとしました。
 正直、「ロレックス+いくろう」の組合わせに違和感あるし。  まずはローンなんとかせなあかんしな!