カード社会

 しばらく前に見たCMの話。

・主人公は金髪ロンゲのチャラい若者。 芋くさい庶民ヅラにそのような風体なので、「八王子のホスト(しかも雑兵)」といった感じ。
・シーンが変わり、高級そうなレストランで初老の婦人と食事をしている。どうやら「母親への初めての親孝行」の模様。
 父親が同席していないことや、白髪がちな頭から、これまでの母親の苦労がしのばれる。
・食事が終わり、近づいてきたウェイターに「大丈夫、これがあるから!」とばかりに誇らしげな笑顔で提示したのは、○○カード!!

 どうも新成人か新社会人をターゲットとしたカード会社のCMだったようなのだが、「俺が親やったらたまらんわ!」と思ってしまった。
 カードの効用をアピールしたいCMのはずなので、おそらく彼は「こんな高い店もカード持ったら楽勝!」とばかりに(一括では無く)リボ払いを使ったと推測される。


 まっとうな親なら、あの支払いの一瞬で下記の全てを悟るだろう。
 ・親に初めてご馳走するという晴れの日に、たかだが食事代も用意できない甲斐性のなさ
 ・借りた金で高級レストランをおごる、というなんとも浅はかな見栄の張り方(まして親の見ていない所ではどんな金の使い方を・・・)
 ・現実にはただの高金利ローンなのに、なぜかカードを使うのが格好いいと受け取っている金銭的リテラシーのなさ


 取り返しのつかない人間に育ってしまった、そのことを雄弁に物語るその一幕。 これ以上の親不孝はなかなか無い。

 なんとも逆効果なCMでした。