しばらく前のこと。子供(大)が憤っていた。
「スーホの白い馬のね、王様ひどいの! スーホが優勝したのに、娘を嫁にやるどころか、馬を取り上げちゃうんだよ!」
教科書で読んだらしい。
「うーん、まぁひどいよな。でも王様ばっかりが悪いかなぁとも思うんだよとーやんは。」
「なんで?」
「だって馬が早かったぐらいで、『娘をやる』なんておかしくない?」
「・・・・おかしい。」
「やろ? 思うに、遊牧民の人にとって、家畜って財産やから、
一等をとれるぐらい早い馬を持っている人は、一番のお金持ちやと思うねん。
で、王様はそんな人に娘をやりたかったと。」
「なるほど・・・」
「もしかしたら、前もってお婿さんも決まってて、その結婚式を盛り上げるために、競馬大会やったんかもしれへん。
それが、急に現れた貧乏な子供がいきなり優勝して、『ぼくに娘ください』とか言い出したらどうする?
結婚式の用意台無しやで?」
「・・・・・ものすごく怒る」
「それか、王様は娘やるつもり始めから無かったんかも。 自分が凄い早い馬持ってて、自分で優勝して自慢したかっただけとか。
例えばとーやんが王様で、ココちゃんを見せびらかしたいために『かわいい猫くらべ大会』を開いたとして。
ココちゃん優勝させたかったのに、誰か他の人間が優勝してきたら?」
「それも怒ると思う」
「そうやろ? だから、王様も悪いけど、スーホをそそのかした奴が一番悪いと思うんだよね。
それに、スーホがもうちょっと利口なら、『娘なんかくれるわけ無い』と考えるか、欲を出さなかったやろうに。
殺された白い馬が一番かわいそうだよ。
この話は、頭が悪いと、時としてひどい目に遭いますよ、という事だと思うとーやんは。」
「そうか・・・」
いやほんま、シビアな話ですわ。