イオソデビュー

 妻実家に帰省中のこと。子供(大)が 「イオンに行きたい」 といった。


 じつは、うちの子供達は、物心ついてこの方イオンに行ったことが無い。 が、イオン様のことは「素敵なお店がたくさんあり、映画館とか本屋とかもあって、なんだか夢のような所」として認識しており、行きたがってはいた。(が、近隣の道路が鬼混みするというので、避けていた)

 そして、よくよく思えば、今まで「自分の好きな服を選んで買う」という経験が無い。すまんな。
 
 なので、お年頃(6年生)の子供(大)に、妻から「イオンに行って、なんか好きな服買おう!」とゴージャス提案。 こども大喜び。


 さて、数年ぶりにイオンに着いてみたが、とにかくでかい。岡山じゅうの車が来てんじゃないだろうか。駐車場からエレベータを降りたところがたまたまゲームコーナーだったのだが、そこも巨大。「コーナー」どころか、そこいらのゲーセンよりはるかに面積は広い。
 もちろんショッピングモールはさらに広大なので、子供と妻とは別行動することにした。こんなもん、着いていったら行き倒れるわ。
 独りでうろうろはしてみたが、確かに若い娘さんの好きそうな服屋やアクセサリー屋はとても充実している。しかしここで謎に突き当たる。
 この中途半端な地方都市で、こんなオシャレしてどこにいくんだ? 駅前は観光地ではあるが、繁華街としては寂れてきており、地元民(とりわけ若い人)はあまり見かけなかったが?
 疲れて、ベンチに腰をおろしているうち、その答えはおのずと判明した。「あ、オシャレはここにして来るんだ!!」 そう、このイオンこそが繁華街そのものなのだ。
 「イオンに行くのに着飾る」という発想が無かったが、確かに寂れた駅前商店街より、ここの空間の方がはるかに華やかで非日常だ。 ある種、テーマパークでさえあるんだな。
 
 そう考えると功罪はさておき、イオンという存在は凄い。 「田舎にイオンを作る」という行為は、誇張でも何でも無く、「町の中心部をつくる」ことなのだ。 そら近所渋滞しますがな。

 
 ちなみに、子供(大)は悩んだ末、なんだかギャルっぽいブランドの上着(¥3000ナリ)を買い、たいそう喜んでいました。 
 私の実家に行く際にはその服をさっそく着用し、私の実母に自慢しておりました。 が、「おばあちゃん、上の服3000円もしたの! ズボンは100円だけど!」と不要な発言により母を不憫がらせていました。