掴んでもワラ

秋も深まるこの季節になると、子供の中学受験の追い込みを思い出す。

どちらかというと肩の力の抜き方がわからなかった子供(大)の方を。

 

 

 思えばあのときは夏休みが終わっても成績がぱっとせず、本人が強く志望する中学との乖離がいよいよ大きくなって来ているという危機的状況だった。

 それまでは(愚かにも)進学塾の謳う「手厚いフォロー」を信じて、進捗管理や弱点補強含めて塾に丸投げしていた。

 が、「最後のノビ」が期待できないと判断した塾が、面談で子供の学習態度に急に苦言を呈し始めたのだった。内容の真偽はさておき、あのタイミングでその話を始めたのは明らかに「何年も通わせておいて、難関校に受からせる事が出来ないことへのアリバイ作り」だったと思う。

 

 それはともかく、子供の意向を聞いてみたら「それでも第一志望にチャレンジしたい」と言うので、お父さん(一応中学受験経験者)が子供の勉強に本格介入することにした。 つまりそれは、「わからない所を教える」だけではなく、マネージメントするということ。

 まぁそれまで面倒で避けていたけれども、中学受験のお約束ですね、親のどっぷり介入。 

 そしてそんなドロナワ式の介入は、「うわ、うちの子全然分かってない。穴だらけや」となるのもお約束。

 しかしもはや嘆いても仕方が無いので、とりあえず「弱点を把握し、埋めていくためにやるべき事を決める。やらなくて良い事も決める」という形でフォローすることにした。

 実は後者(やらなくて良い事を決める)はとても大事。というのは、進学塾という物は大量の課題を出すことがままあり、一部の出来の良い子供以外は「付いていくだけでせいいっぱい」となりがちだからだ。

 本当は、課題やテストであぶり出された苦手箇所を、反復練習の積み重ねで埋めていく事が大切なのだが、出来のよろしくない子は目先のタスクに押し流されてそこまで手が届かない。

 出来の良い子はその集中力で大量の課題をスピーディに咀嚼するし、そもそも間違いが少ないので効率よく練度を上げてどんどん「仕上がって」いく。

 しかし大多数の、時間が足りない出来のよろしくない子には、「これはやらなくて良い」と誰かが判断してやり、弱点補強の時間を稼ぎ出すことが肝要。と、私は思っているのだ。 (当然、子供は「宿題やっていかないと怒られる」と気にするので、そこは親が塾の講師と直談判して話をつけておく。 下の子供のときも同じ事を行ったが、こちらの提案がリーズナブルなら先方も相談に乗ってくれる)

 

 で、介入するようになって痛感したのが「このままでは到底本番までに『仕上がらない』」ということ。 

 こっちもサラリーマン、時間的に限度という物があり、沢山ある穴を埋めきれないのだ。 この時は、「せめて3ヶ月早く自分でテコ入れしていれば・・」と非常に後悔したが、まぁ良くある後の祭り。

 

 自分以外に、子供によりそって何に躓いているかを即座に理解し、丁寧に教えられる人間がいれば効率があがるのだが・・・

 という事で、家庭教師に手をだして見ました。

 

 実は「そこまでやっちゃう?」と妻とも悩んだのではあるが、「自分たちが「やるだけやった」と後悔しないようにしよう」という指針のもと、決断。

 

 そうして9月後半から年明けにかけて、「Ξ兵学園(仮称)の算数の人気講師くずれ」という人にたのみ、なかなかの金をかけて算数を補強してもらった。

 時給、高かったです(ちょっとここで書けないぐらい。知りたい方は直接聞いて下さい。)

 

 さて、時は過ぎて、そんな色んなリソースを突っ込んだ総力戦で挑んだ本命のお受験当日。

 妻ももちろん志望校に付いていって、保護者待合室で他のお母さん方と試験の終了を待つ訳であるが。

 けっこう長い待機時間、同じ塾や小学校のお母さん達としゃべるうちに、「実は高めの家庭教師でテコ入れして・・」と告白してしまったところ、他にも複数のお母さん方が「実はうちも・・・」とゲロったとのこと。

 

 で、凄く面白いのが、そういう家庭教師に手を出したおうちは、みんな落ちたということ。もちろんウチも。

 

 まぁ冷静に考えたら、そらそうでしょうな。受かるような子供の家庭はあんなもんに手を出すわけが無い。

 

 ちなみにそんな子供(大)も、第2志望で受かった近所の女子校に機嫌良く通うようになりました。身の丈って大事です。

 負け惜しみでは無く、「あれ、うっかり受かってたらカリキュラムについて行けてなかったのでは。落ちて良かった」と本当に思っています。 塞翁が馬。