長い枕

 ここ20年、携帯機器の進化と共に色々な所で使われるようになったリチウムイオン電池

 コイツは世間で我が物顔をしている割には存外に根性が無く、フル充電やカラ状態、それに温度により簡単にダメージを受けて劣化してしまう。

 劣化とはつまり「あれー、充電したばっかりなのにもうカラになってるー」という状態である。 身近な例で言えば「一日になんべんも充電しないといけないスマホ」とか、「ACアダプタを接続していないと電源が落ちるノートパソコン」とかそういう奴ですな。 

 逆に、バッテリを甘やかしてやる(つまり、バッテリの本来の蓄電能力の30%~80%の範囲で使うとか、温度が上がらないようにゆっくり充電するとか)と、劣化が抑えられる・・・・んですけど、ユーザーにとって最も大事な駆動時間が短くなってしまう。 逆に、カタログスペックの駆動時間を長くするためにバッテリを限界まで酷使すると、あっというまに寿命が来てバッテリ交換をする羽目になる。

 つまり、電化製品のメーカーにとっては「駆動時間」と「バッテリ寿命」は製品設計時のさじ加減で決める部分であって、メーカの哲学や製品特性によって大きく変わる。

 たとえば、極小の電池しか入らないワイヤレスイヤホンなんかは、それなりの駆動時間をキープするためにはバッテリ性能をフルに使わざるをえず、比較的早めに寿命が訪れる。 逆に、EVなんかは走行距離が短くなるのを嫌うので、本来のバッテリ性能に対して非常に余裕をもった運用をしている。だって、「久しぶりに遠出したら目的地に行き着けず、原野のどまんなかで電欠」とか、命に関わるからね。

 そのぶん、EVで寿命が来て交換した廃バッテリは、他の用途ではまだまだ使えるので家庭用蓄電池としてリサイクルしたりする。BYDとかは大々的にやってますね。余談ですが。

 

 で、ココまでは話の枕なんですが(長い)。

 

 我が家のスマホは今までiPhoneばっかりだったんですが、子供(小)で初めてandroidが導入されました(中学校に制服ならぬ制携帯という制度が有り支給された)。 S〇NYのエクゾディアみたいな名前の奴だったんですけどね。

 こいつがバッテリの駆動時間が長く、軽く2日は使えていたのでiPhoneユーザーとしては「おーさすが日本製、すごいなぁ」と感心していた。

 ところがなんと、1年半ぐらいでバッテリの劣化が激しく進行し「学校にいる間は使用していないのに一日もたない」という状態になってしまった。

 つまり、新品時点で私が驚いた駆動時間の長さは、メーカーの技術的な努力によって成し遂げられたものではなく、ただ寿命を犠牲にした不誠実なセッティングにしていただけだったという。 いくらS〇NYとはいえ、日本メーカーにこういうことはして欲しく無かったなぁ。 iPhonの方がはるかに持つじゃん。

 アメリカの製品に長期の設計品質で負けるっていう事実に、なんだかガッカリしました。