素晴らしき哉人生

 バカらしくて最近行ってなかった労働組合の会合に行く。
 組合が会社に提案しようとしている議案に対し、末端の組合員(俺たちだ)から意見をくみ上げようと言うもの。
 で、その議題の一つに、「企業年金の予定利率を変動制に変える」てのがあった。別にそれはかまわない。
 現状の制度はバブルの頃に(世間様の金利より低めに)設定した固定金利なのだが、今や当時からは思いもよらない超低金利時代、逆ザヤが発生しそうなので変動制にしましょうという図式。まぁしかたないわな。
 ところが、その予定利率が決定される仕組みが納得できない。
 「20年モノ国債金利を、さらに過去5年平均した金利を使う。ただし1.5%〜6%の範囲内。」
 下限の1.5%はいい。上限の6%が腑に落ちない。ここまで安定した決め方なら、別に青天井でええやん。そこを組合の執行委員に聞いてみた。
 「いや、そこは安定した原資の確保のためです。組合員の大事な年金ですから、いたずらに金利を高くして、リスクを高めるような運用は出来ませんから」
 「組合員のことを言うなら、6%を大きく超える様なインフレが発生する時のことをこそ考えるべきではないのか? それに、国債金利が高く安定している状況で、その金利以上に運用できないと言う状況は考えにくいのでは?」
 「いや、この低金利の時代でもですね、過去何年かは運用実績が国債金利水準を下回っていてですね、とにかくあまり利率を上げるようなリスクは取れないんです」
 「『国債の利率程儲ける自信がない』って言うことですか? であれば、絶対的な金利が高かろうが低かろうが関係ないでしょう? 『予定利率は長期金利マイナス0.5%で設定します』ていうのが筋でしょ!? ていうかそもそも『国債金利をめざして運用します』ってそれ運用って言わないでしょ!」
 「いや、これから団塊の世代が大量に退職してですね、資金が大量に必要になってくるので、予定利率を低く抑えざるをえないんですよ」
 「それは長期金利が高くても低くても起こる問題でしょ! 俺が聞いているのは、『予定利率の上限はなぜ6%なのか』ていうただそれだけなんです!」
 「えっとそれは・・・・そんなリスクは取れないんですよ・・・」
 「・・・・・」
 と、気まずい雰囲気になった所で、気の毒な執行委員に(たいそう冴えないオーラを漂わせた)組合員から論点のずれた援護射撃が。
 「あのう、Iさん(俺だ)、それなんだったら、401Kとか始まったらご自分で国債買ったら良いんじゃないでしょうか」
 違う! お前の言っていることはこうだ!「そんなに温暖化を心配するなら、家に帰ってクーラーつければ涼しいですよ」
 そう思ったが、やる気が失せたので黙っておくことにした。