原発に思う

 今回の原発、よく「設計時、津波の想定はしていなかった」とか「津波の想定高さが足りなかった」と非難されているようだ。
 前者は論外だが、後者は程度問題の話で、状況によってはスパっと断罪できるものでもないと思う。
 「津波地震の震度に関し、都合のいい学説にしか耳を貸さなかった」みたいなことを聞くのだが、捜せば「今までに人類が経験した事も無い様な、震度10のスーパー地震が来る」だの、「高さ50mのスーパー津波が来る」だのといった学説は(だれも耳を貸さないだけで)誰かがきっと提唱していると思う。
 そういう事を考えると、どこまでイザという時の事を考えるか、というのは非常に難しい問題だ。 人間は、起こってしまった事実のみをベースに考えて、事件以前には他の可能性もあった事を忘れ去ってしまう特性がある(後知恵バイアス)のだが、そこを忘れてはいけないと思う。だって、「良く考えれば予見できたはず」⇒「じゃぁこれからは良く考えよう」⇒「良く考えてた(つもり)なんだけど、想定外事故が起きました」のループを繰り返してしまうから。
 さて、逆方向の後知恵では、今回は制御棒がはいったからこの程度で済んでいる(つまり今回の被害は「最悪の事態」からはほど遠い)ことも認識から外れがちだ。「制御棒さえ入らないほどの大地震」が起こった可能性だってあるし、もしかしたら今この瞬間に福井で起きているかもしれない。


 というような未来の不可知性をつらつら考えると、究極の話、あまり多人数の命を危険に晒すようなインフラを人類はつくってはいけないのかも知れない。
 なんとなくだが、最悪でもいっぺんに死ぬのは数百人レベル(つまり、船や飛行機まで)が許容範囲ではないのかなぁ。
 そう考えると、核ミサイルなんてよく今まで暴発しなかったものだ・・。ぞっともするし、大した管理だとも思う。 また、廃棄物の最終保管施設なんてのも危ないな。猛毒の廃棄物を何千年とか何万年とか保管しておいたとき、その間に政治体制が北朝鮮のような物騒な体制になったらどうするのだろうか。
 それを兵器として使って、「他の国にばらまくぞ!」と脅さないだろうか。たかだかこの500年ぐらいでさえ、最高権力者はいろいろ変わったわけで(そう、信長もいた!)、数千年とか言い出したらもうどうなるか分からないだろう。
 とか偉そうな事をいいながらも、新居にはエコキュート入れちゃっている私。(深夜電力が安いのは原発様のおかげだから、あまり原発の存在そのものに文句を言う権利は無い) 首尾一貫してません。