さる筋より、面白い話を聞きました。
携帯にも使用されるような重要部品についてなのですが、少し前までは日本の独壇場だったのが、中国がばんばん追い上げてきているそうです。
理由は二つあり、一つは「製造方法を中国に指南している日本人アドバイザー達がいる(製造装置は日本から普通に購入できる)」事、もう一つは「中国製の方が性能(スペック)が良い」事。
前者については、「金に目がくらんだ国賊めぇ!」と言うわけでは無く、聞けば悲しい背景が。
もともとこの部品の分野は、進歩が停滞していた時期があり、日本の大企業では冷遇されていた部門だったと。 まぁぴかぴかのエリートは最初から配属されないような。
ところが! その部門の社員達が画期的な技術革新を起こした!
「っっしやぁぁ!! 本社のエリートを見返してやんぜぇっ!!」 となったに違いありません。
熱いですね、プロジェクトXばりのこの展開。「愚連隊が世界を変える!男達が見つけた突破口」的な。
されど好事魔多し。
「こ、これは凄い金になりますがな!」と気づいた本社部門が、エリートを大漁にその部門の管理職に送り込んできました。「お前らみたいな劣等生にマネージメント任せておかれへんわぁー」
必死でその技術革新を起こした中堅メンバーの多くは、押し出されるようにもっと閑職に回されるか、良くても現状維持でエリートの部下となりました。中堅メンバーの心中いかばかりか、という所です。
めでたしめでたし、では当然おわらず。 その状況に目を付けた中国・韓国・台湾の大企業に、中堅層は高給でバンバン引き抜かれていきました。
ノウハウを知悉している彼らは大活躍。アジア中でその重要部品は製造されるようになりました。
日本という国は白色ダイオードに続き、またも技術の囲いこみに失敗しました。めでたしめでたし。
そして後者に、「中国製の方が性能(スペック)が良い」という事実。 一見意外ですね。
それにはカラクリがあり、「中国製は長期の耐久性に乏しいかわりに、小型で初期性能が良い」という方向にステータスをふっていると。
耐久性に乏しいということは、化学的に不安定という事なので、品質のばらつきも大きく、「最低限の品質・耐久性」のハードルが高い日本メーカーにとっては「作れるけど作れない」物なんだそうです。
ところが部品の用途上、「小型で軽い」というのは大きなアドバンテージなので、分野によっては日本製が駆逐されつつあると。日本製コストが高いですし。
全ての分野で「悪貨は良貨を駆逐する」とは行かないとは思いますが、まぁ色々考えさせられる話だなぁと思いました。