靴磨きの少年

 思い返せば、ずいぶん長い間土地の値段は上がり続けている気がする。(利便性の高い地域に限る)

 現在、自分自身が比較的駅に近い所に住んでいるのだが、近隣の散歩の時に見かける新築の建売住宅を見て「高っか!」となる事が非常に多い。 具体的に言うと、20坪未満の3階建てで、それほど人気の場所では無い(阪神電車の方が近いとか)場合でも5000万円は超えてくる。

 5000万円というと、フルにローンを組んだら変動金利でも毎月20万円ぐらいはかかるのではなかろうか。1000万円頭金入れたとしても毎月17万前後。共働きでもなかなか厳しい数字だと思う。

 土地の値段自体がだいぶあがってるんだろうなぁ、と思っていたら裏付ける情報を入手した。

 実は、ウチのすぐ近所の、駐車場になっていた土地が売りに出たのだ。 だいぶ広い土地で(140坪らしい)とうてい手は届かないのだが、冷やかしに電話してみたらコテコテの関西弁のおじちゃんが応対してくれた。

 「あー、もう売れましたわ。3億1000万円で。」 マジっすか。坪200万円超えてますぜ。

 このおじちゃんが結構面白くて、ヒマだったのか色々教えてくれた。

 「サラリーマンの方でっか? 銀行から金引っ張って、賃貸建てるつもりやったら絶対やめときなはれ。 人件費も材料も上がってもうてるから、絶対モトがとれまへん。 今、駅に近い土地は、金持ちが『お、ええとこに土地でてるやん。こうとこか』いうて、損得気にせず買うもんになってもうてる。 今回の物件もそんな感じで金持ちが手銭でポンと買わはった」

 だそうな。(口調も本当にそんな感じで、ナニワ金融道みたいだった)

 確かになぁ、土地や新築物件の値段は上がってるけれど、賃貸の家賃はそれほど上昇していないから、賃貸オーナーへの新規参入はなかなか苦しいだろうなぁ。

 

 自分で住むために一戸建てやマンションを探す場合でも、ローンが15万/月を超えてくるなら、「(買うのを止めて)広めの賃貸にしようか」という選択肢も脳裏を掠めてくると思う。

 なぜなら、広い物件が欲しくなる理由はほぼ「子供部屋」であり、そして子供はヘタすると18歳で家を出て行く。であれば「本当に広い物件が必要な10数年を賃貸でしのぐ」というのは充分にリーズナブルな戦略だからだ。

 

 そう考えると、さすがに土地の値段も上がりすぎだよなぁ。。

 そんな折、タイムリーなことに、ちょっとした不動産屋さんの知り合いとお食事をする機会があったので話を聞いてみた。

 このかたはもう結構なお年で、バブル崩壊前から不動産の荒波をくぐってきたという経歴なのだが、やっぱり「もう土地はピークですな。というか、やや下がりつつある。今買うのは絶対やめときなはれ」とのご意見だった。

 現場の実感としても、全て(土地・建築資材・人件費)が高くなりすぎて、物件の値段が上がって購入できる人間が減り、動きが悪くなって来ているとのこと。

 

 これでローン金利が上がったらもう目に見えてミニバブル終了ではなかろうか。ていうか固定金利はジリジリあがりつつあるから、変動金利まで火が付いたら不動産価格はいったん大きくシュリンクせざるを得ない気がする。