「子ども好き」という人種

 いきなりで申し訳ないが、子供という生き物が余り好きではない。 うるさいし、話が通じないし・・・。
 自分自身が末っ子で、身近に子供が全くいない環境で育ったこともあるのかもしれない。
(とはいえ自分の子供が生まれてみるとそれなりに(客観的に見た顔のデキはともかく)かわいいし、また子供という生物のかわいさみたいなツボもちょっと分ってきたので、他人の子供も以前ほどニガテではない。)

 まぁそんな私なので、「子供が好き」という人種が世の中にいるということが全然ぴんとこなかった。ていうか作り話だと思っていた。
 ところが子供をつれて世に出ると、微笑みかけたり話しかけたりしてくる他人のなんとまぁ多いことよ。 みなさん、無償の愛、まさにアガペーを感じさせるようないい顔です。 作り話だなんてとんでもない。
 また、意外なことに、中学からの古い友人の中にも「隠れ子供好き」が存在し、いまさら(20年近く付き合ってるのに)意外な一面があったとは、と大いに驚いた。
 で、そういった人達が子供に話しかけるときに浮かぶ慈愛に満ちた表情を見るうちに、ふと思い当たった。

 「これは、俺の猫に対する感情と同じなのではないか!!」

 説明すると、いつの頃からか私は猫が好きで、今となってはそれは好きを通り越して信仰に近いものになっている。 
 路傍で猫様に遭遇した時などは、こりゃぁ眼福ですわいという嬉しさと、猫様がこの先飢えや苦しみに遭遇しませんようにという祈るようなせつなさがない交ぜになったなんとも言えない気持ちが湧き起こる。それほどのものだ。
 そして子供好きという人々の「子供好きレベル」が私の「猫好きレベル」と同じぐらい、もしくはそれを越えるものだとすれば、あの菩薩の様なまなざしも理解できるというものだ。

 なーるほどねぇ・・・。 また一つ勉強しました。 世の中案外捨てたものじゃないのかもしれない。