遺伝と環境

 最近、テレビで久保田カヨコとかいうお婆さんを見かけた。 「子どもを東大に入れる教育法」みたいなネタで、バラエティ的な情報番組でとりあげられていた。
 なにやら独自の教育理論(特に乳幼児期のもの)を構築し、それを自らの息子に適用して実際に東大にいれた、という方らしい。
 80歳も近いのだが、頭の回転が速く、ポンポンと小気味良いコメントをマシンガンのように連射する。
 かなり失礼な事も言うし、一刀両断に斬って捨てるような取り付く島も無い発言も多いのだが、
内容に陰湿さや裏表が無く、悪い人じゃないんだろうなぁと分かるので、腹がたたない。
 一言で言って、ユニークで魅力的な人物なのだ。
 その上、旦那が有名な脳科学者とか、そんなプロフィールも持ち合わせている。
 テレビに出ているのも、その「東大〜」というキャッチーな教育法うんぬんもさることながら、バラエティ受け・マスコミ栄えするそのキャラクターに負う所が大きいと思う。

 
 で、私が見たその番組だが、彼女の教育法を、「自分の息子も東大に入れた、すごいメソッドだ!」と散々持ち上げていたが、
彼女自身も東大出身であることを、番組自体が言及していなかった所が気に喰わない。
 視聴者に「そりゃ両親東大なら、何らかの形で初めから有利なんじゃないか?(教育法の効果だけか?)」と思わせること避けている。「情報の選択による誘導」と言う奴だ。フェアでない。

 まぁ、毎度のマスコミのやり方が鼻についた、という話でした。心狭い?

 ちなみに彼女の教育法は、「おんぶを沢山しよう」とか「赤ちゃん語で話しかけるな」とか、まぁそういうこともあるのかもなぁ、という感じでした。
 そもそも教育法なんて、純粋にコントロールされた環境下で厳密に有効性を検証する事がほぼ無理に近いんだから、言った者勝ちだと思う。
 「その教育法で育てた子供が90%東大にいった。(母数は20人は欲しい)」とかなら、効果は明白だけどきっと無理だろうし、ばらつき(ノイズ)が大きくて良く分からんなら、そもそも気休め程度の効果ってことだし。

 個人的には、その東大に行った息子さんは、その「教育法」だけで学力を伸ばした訳では無く、その他の要因も後押ししただろうと思う。
 例えば、両親からの遺伝的なアドバンテージの効果とか。
 少なくとも広義の遺伝的要因(肉体的に遺伝する要素ではないが、たやすく真似は出来ないもの。家族の雰囲気とか、会話の内容とか、価値観、考え方とか・・)の正の影響はあったろう。