人間は過ちを繰り返す

 このまえ、失敗学、という学問のセミナーを受講した。
今までの大事故の豊富な実例を元に、設計者として失敗から学び次の事故を防ぐための方法論がのべられ、かなり面白かったのだが。
 安易なマニュアル化を戒めており、人間の集団が時の経過と共にいかに愚かになっていくか、そして自分達は先人と違い利口なつもりでも、その態度事態がステレオタイプにはまっており、必ずいつか事故をまねいたり、企業として衰退するということが主張されており、常日頃の私の考えとかなり合致していたので激しく共感。
 そうなる原因はいくつかあるが、技術の進歩と共に新モードの事故が到来することや、環境の変化、技術の伝承不良、企業体質の変化など。
 あと、こんなことも。
 「橋の大事故は世界的に30年周期で新モードで起こる。人類はそのたびにメカニズムを徹底究明し、2回目の同モードの事故は決して起こしていない。そして、技術的に比較的新しいつり橋型(明石大橋タイプ)でそろそろ事故が起こる頃・・・。」
 「ここ数年で急に、国内でも耳にするようになった竜巻。 これをリスクファクターとして注目している。 山形県JR羽越線や、延岡のJR日豊線では竜巻で脱線しており、後者では死者3人も出ていますが、当時は『竜巻みたいな珍しいもんしかたないなぁ』で事態はすぐに沈静化しました。
 が、今後、竜巻は珍しくなくなり、惨事が起こって『どうして竜巻を想定して設計していなかったんだ』と、企業が責任を問われる日が必ずくる。 当時竜巻なんか誰も考えてなかった、といっても世間には通用しない。 血液製剤狂牛病回転ドア、エレベータ、全て「後知恵で考えれば事故は明白、でも当時は当たり前」だった。つぎにカメラの前で頭をさげる設計者は、あなた自身かもしれない。」

 
 なるほど。竜巻はたしかに、なんか起こりそうだな。